日本一の笑顔

祭り
ソイヤーという弾んだ雄叫びは、iPodのシャッフルを止めるには十分なものだった。アスファルトの大地を踏み締める旗持ち、踊りなびく派手な衣装から飛び出した手足。魂が熱くなる感覚は、日常では味わえるものではない。
本番中の人たちよりも、袖で準備をしている人たちの顔つきを見るほうがグッと来る。
この日のために一生懸命練習してきたんだろうと、勝手に妄想してしまう。
土曜日の昼下がり、仕事に向かう僕にとってはプロレスの入場曲となった。



地下にもぐると雄たけびは聞こえてこなくなり、代わりに無表情な魚の群れが現れる。
その群れをかいくぐり地下鉄に乗り込み、僕の身体は大事な人たちの下へと運ばれていく。





こんな人
日本一の笑顔を目指している友人と食事をした。
彼はより多くの笑顔を欲している。
僕は少なくてもいいからマイナスからスタートの笑顔を欲している。
僕というものには、メニューがない。というか明確ではない。
「これください」っていうのを作らないと。
反省しながらも、こうやって一緒に何かしたいと思える人がいるからこそ、
失敗と反省と行動を繰り返し近づいていくことができることに感謝。





あんな人
特にヨーロッパの洋菓子界で有名な和菓子職人の方と食事をした。
前から大事なお客様で、ずっとかわいがっていただいている。
フランスでフランスの菓子をフランス菓子とは言わないのに、日本の菓子に和菓子とつけるのはおかしいとおっしゃっていた。そのとおりだと思う。和服と洋服も同じ。
ヨーロッパと違い、日本は職人が尊敬されなくなってきている。
そもそも日本そのものが、日本人から尊敬されなくなってきている。
誰も日本を語らない。
それは個人が薄まっているからなのだろうか。
アメリカになるのか、中国になるのか。





そんな人
一緒に仕事をしたいなって思う人。
そういう人は絶対数でいえば多くない。
だからこそ発見したときには、とことんやってみる。