恋物語

お帰り。
その言葉が、言えるようになる日は来るのかな。



ただいま。
何も無い空間。



帰り道
早足で歩かない。



スーパーで何を作ろうと考えなくなった。




失ってはじめて気付く恋
今更気付いたってもう遅い



君と出合ったのは、歌舞伎町。
最初は何てこと無い、よくある関係。
君はメインが学生で、サブが夜。僕はメインが夜で、サブが学生。



そして、池袋で飲み身分を明かす。
一緒に働くことになる。
それから6ヶ月。なんてことない仕事の関係。
歯車がずれたのは、君が酔って、泣いて家族の事を話してきたとき。
そこからはじまり、送る時家に寄ったり、来たり。



僕は社会人になって、君は学校と夜が半々。
彼女の家と自分の家を行き来する日々。
僕は仕事が何なのかもわからないまま、仕事をしてた。



一緒に住もうとなったのは自然に。思い出せないけど。
君は、練馬の不動産屋を一人で回って。いい物件を見つけてきた。



それから2年後、家を買おうと思ったのも自然に。
そこで、僕は止まってしまった。
物にお金を使い、君には時間も金も使わない。
最低だ。
仕事が忙しいのを、全てのせいにしていた。



男は次に付き合う女ができるまでは、前の女を引きずるそうだ。
僕は、いつまで引きずるのだろう。