黒いアスファルト

黒いアスファルト
家を出て雨上がりの匂いを出すアスファルトの道を歩く。
池袋駅の近くで、赤灯が無作為に周りを囲む人の群れを照らしている。
彼らは一様に月の出ていない空を見上げ、携帯で写真を撮ることを義務とされている。
飛び降りがあったとかないとかの言葉と無意味な熱気を横切って、交番前に着く。
僕はこの場所が好きだ。
同じように新宿・渋谷・六本木にも好きなポディションがある。
そこに腰掛け生きている街の流れを見ているだけで、その街の一部になった気分になる。
その場所に座ることが、この街にとっての僕の役割なんだろう。



雨が去った後の涼しい風を浴びて、池袋の街に腰掛ける。
土曜日はゆるくて、酔ってなくてもフワフワで風に身体が反応する。
大学生は何よりも一杯いくらなのかを優先する。
結婚式に参加した人々が西一番街に吸い込まれていく。
交番という安全なエリアの前でケンカする半浮浪者は、若者のように内側にあるどうしようもないストレスをぶつけ合う。
ここに座るとキャッチに間違えられる。
旅行者のキャスターがカタカタと鳴る。




待ち合わせしているからここに座っているというより、
ここに座るために待ち合わせをしているようだ。
それは言い過ぎだ。




在宅勤務
重たいカバンを持って失意の溢れる電車に乗らないと、仕事は乗らない。
事務作業と汗を流すことに専念した週末。
明日からまた楽しい試合が始まる。




戦争も平和も
すべては必然。
それでも前に進む。